地域活動AtoZ

2021年5月掲載

volume 8地域活動でSNSを使う際のヒント

Facebook、Instagram、Twitterなど、今や、情報発信・交流の手段として広く浸透しているSNS。2020年に、全国の15~79歳の男女を対象に実施された調査では、「Twitter」は3人に1人、「Facebook」「Instagram」は4人に1人が利用しています(出典: NTTドコモ モバイル社会研究所ホームページ)。各SNSの利用者層などの特徴を知り、自分たちの団体の情報発信に取り入れてみてはいかがでしょうか。地域活動でSNSを使う際のヒントと、杉並区内でSNSを活用している団体の実践例を紹介します。

SNSとは

SNSとはソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略。会員登録した利用者同士がWEB上で情報(テキスト、画像、動画、音声など)を発信し合って、お互いに交流できるサービスです。「Facebook(フェイスブック)」「Instagram(インスタグラム)」「Twitter(ツイッター)」が3大SNSと呼ばれています。近年では10代でInstagramをしのぐ利用者を持つ短時間動画アプリ「Tik Tok(ティックトック)」や、音声のみで交流する「Clubhouse(クラブハウス)」など新しいSNSも続々登場。若い世代ほど、より新しいSNSのユーザー数や利用シェアが高い傾向があります。

また趣味(スポーツ、読書、料理)などに特化したSNSも増えつつあり、多様化が進んでいます。

SNS利用の一般的な長短としては、下記が挙げられます。

(おすすめポイント)

  • ・原則無料で利用できる。
  • ・ターゲットを絞った広告を安価で打てる。
  • ・インサイト機能(各SNS会社が無料で提供しているアクセス解析ツール)が充実。
  • ・地域や年代等のユーザープロファイル(user profile)から利用者の属性を参考にできる。

(注意ポイント)

  • ・予告なしで急にバージョンアップしたり、ダウンしたりすることがある。
  • ・セキュリティ対策、ユーザーケアが大事(見知らぬ人からの「友達」承認申請、アカウント乗っ取り)。
  • ・運営母体が海外企業なので、表記やシステム等がわかりづらい部分がある。

どのSNSを利用する?

 情報を届けたい相手(対象者)、伝えたい情報とのマッチング(親和性)、団体での共同管理のしやすさ(運営面)を考えて選ぶことが重要です。最初は無難で利用者の多い三大SNSから選ぶと良いでしょう。

各SNSの特徴

Facebook Instagram Twitter
ユーザー数
(国内)
約2600万人(↓減少傾向) 約3300万人(↑増加傾向) 約4500万人
ユーザー層特性 20~60代 多い
中高年ユーザー多い
他SNSと比べ10代少ない
10~30代 多い
女性利用が多め
ユーザー層特性 20~60代 多い
中高年ユーザー多い
他SNSと比べ10代少ない 10~30代 多い
女性利用が多め 10~50代 多い
特に若年層の利用活発
匿名性 原則として実名登録 匿名利用多い 匿名利用多い
情報との親和性 実名による信頼性
広報向け
ビジュアル、感性重視
トレンド性
メッセージ性の高い投稿即時性、
拡散性
運営面 管理者による権限付与で、複数メンバーによる記事作成、投稿管理可能。 Instagramとの連動機能あり。 管理者による権限付与で、複数メンバーによる記事作成、投稿管理可能。Facebookとの連動機能あり。 許可された複数のメンバーによる記事投稿可能。

参考資料
・NTTドコモ モバイル社会研究所ホームページ掲載「モバイル社会白書WEB版」
・株式会社ガイアックス運営サイト・ソーシャルメディアラボ掲載
「2021年4月更新! 12のソーシャルメディア最新動向データまとめ」

まずはユーザーとして、各SNSで情報収集や発信、交流を楽しんでみましょう。同ジャンルの団体や組織のアカウントをフォローして参考にしたり、各SNSの人気アカウントをみて研究したりと、使って体験してみることが活用の近道です。

どんなに良い活動でも、発信しなければ伝わらない!

まちナカ・コミュニティ西荻みなみ SNS担当 秋山成子さん

「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」(以下「西荻みなみ」)は、多世代が集うコミュニティースペースを運営する地域団体です。発足以来、SNSで情報発信を続けている広報担当者の秋山成子さんに、投稿のコツをうかがいました。

西荻みなみにてメンバーと。右から秋山さん、望月さん、船尾さん

▼すぎなみ地域コム「まちナカ・コミュニティ西荻みなみ」紹介ページ
https://www.sugi-chiiki.com/machinaka-nishiogi/

西荻窪町会の公式Twitter立ち上げ経験を生かす

西荻在住25年の秋山さん。2012年から西荻窪町会(西荻南三・4丁目全域の町会)の役員を、2014年からの5年間は会長を務め、広報に力を入れTwitterや町会だよりなどの紙媒体も活用し、地域情報を発信してきました。「町会費を集めて活動しているわけですから、普段、町会が何をしているのか住民の皆さんに知らせる義務があるのでは、と。役員就任後まもなく町会の公式Twitterを立ち上げ、“中の人”として、日々の町会の取り組みをつぶやいてきました」。防犯パトロール情報、回覧板のこと、地域のイベント報告、災害への備えなど、こまめなツイートがNHKの目に止まり、取材を受けたことも。「伝えたいことを地元の不特定多数に届けられるSNSは、意外に地域活動に役立つツールなのでは」と感じたそうです。なお、秋山さんが会長の任期を終えた後も、アカウントは後任の方に引き継がれて活用されています。

FacebookとTwitterの合わせ技

町会長を務めていた縁もあり「西荻みなみ」の活動に関わるようになると、さっそく団体のSNSをスタート。「誰でも立ち寄れる居場所づくりを進めるためには、今までつながりのなかった地域の方にも“西荻みなみ”の存在を知らせる必要がある」と、西荻地域の何気ない話題も取り混ぜ、みんなで作った季節の切り絵や編み物などの作品紹介など、「西荻みなみ」の温かい雰囲気が伝わる投稿を続けています。「現在、“西荻みなみ”で使っているのはFacebookとTwitter。より幅広い方に情報を届けたいので、年代など利用者層の異なる2種類のSNSで発信しています。特にTwitterはリツイートで情報拡散しやすく、今まで地域の輪に加わる機会がなかった若い世代からも反応(リプライ)を得やすいという利点を感じます。より幅広い年代へのアプローチには、SNSの活用と紙媒体との併用がおすすめです。」


スマホとipadでサクサク投稿!


実際の投稿 左:Facebook、


右:Twitter

まずは気軽に!短くてOK、写真は必須!

秋山さんが「西荻みなみ」のSNS投稿で心がけているポイントを教えていただきました。

  1. 投稿のターゲットを明確にする(何のために、誰に伝えたいのか)
  2. 投稿頻度を上げて、目に留まる回数を増やす
  3. 短くても良いので、印象に残ることを意識する
  4. 必ず写真も投稿する
  5. とにかく気軽に!直接、事業に結びつかない投稿でも良い(季節やお天気の話題でも可)
  6. SNSだけでなく、紙媒体も併用してさまざまな世代に情報を届けられるよう意識する

「アップル社の創始者、スティーブ・ジョブス氏が“いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ”と言っていますが、同感です。どんなに良い活動でも、伝えなければその人にとっては無いものと同じ。“西荻みなみ”を知らなかった方がSNSを見て、実際に遊びに来てくれたらうれしいです」と、秋山さん。今後は、週ごと、事業ごとなど、複数のメンバーで担当できるようにして、投稿内容の幅を広げていけたらと、語ってくれました。

取材の日、子供たちが運営する「駄菓子屋」のサポートスタッフがツイートに挑戦!(右は実際の投稿)


<まちナカ・コミュニティ西荻みなみ>

2018(平成30)年10月、西荻窪駅南口・神明通りにある商店街(西荻東銀座会)の空き店舗を地域住民で借りてコミュニティスペースを開設(杉並区西荻南2-28-14)。子供から大人まで誰でも立ち寄れる地域の居場所を提供している。健康体操教室や子育て応援イベントなどができるレンタルスペースや、手作り品等を販売できるレンタルボックスも運営。すぎなみ地域コム登録団体。

Facebook: https://www.facebook.com/machinaka.minami
Twitter: https://twitter.com/minami22814
公式サイト: https://nishiogi-machinaka.org/

2021年3月 執筆:すぎなみ地域コムサポートチームN