地域活動AtoZ

2020年3月掲載

volume 2情報発信ツールとしてのCMS

2020年にリニューアルした「すぎなみ地域コム」は、ポータルサイトで<お知らせ>や<イベント・講座>の投稿が完結できる仕組みとなったため、今まで必須だった団体個別サイトの設置は、団体ごとに要・不要を選択できるようになりました。 独自に運営していたブログやSNSに接続することや、サイトを持たない、という選択もできます。
そこで団体ごとに、どのような情報発信が必要で、そのためにはどんなメディア・ツールが適しているのか、を一度検討することが必要です。

情報発信サイト運営の基本

情報を発信する=情報を受信してもらうわけですから、閲覧者への配慮はもちろんですが、サイトを運営する場合には、運用方針やスタッフの役割等を決める必要があります。

特に地域活動では、活動そのものも重要ですが、その活動を多くの人に知ってもらうことで啓蒙が進み、興味関心を高めてもらえる可能性があります。手の空いた人がやればいい、パソコンが分かる人が一人でやればいいい、という軽い気持ちでは運用はままなりません。サイト運用に際し団体内で以下のよう項目を検討してみましょう。

ウェブサイトの運営に欠かせないCMS

月間数回以上の発信頻度があり、発信した情報を保存したい場合には、ウェブサイトやブログを活用するのが一般的です。初期のウェブサイトの多くは、htmlと呼ばれる専門言語を使って作成されていましたが2002年頃(諸説あります)より、文章と画像さえ管理できれば、投稿感覚でウェブサイトを構築できるCMS(Content Management System)が登場しています。

一から構築する場合に比べ、開発予算の節約や開発期間の短縮にもつながることから、現在多くのウェブサイトが、CMSで作られています。また利用者の多いCMSは、プラグイン(※1)も充実しカスタマイズもある程度自由に行えます。デザイン性能にこだわったもの、特定分野に特化した専門的なCMSなど選択肢は豊富です。 そこで、今注目の2種類のCMSをご紹介します。

一つは地域コムの団体個別サイトにも採用している世界シェア35%を超える(2019年ウェブ市場調査会社W3Techsが発表)<WordPress>、もう一つはデザイン性能の高さが人気のCMS<Wix>です。それぞれ利用中の方に運営のコツや活用方法についてコメントをいただきました。 ぜひ団体でのウェブサイト運営の参考になさってください。


シンプルな運営方針だから、一工夫が生きる

すぎなみ地域コム団体個別サイトを、旧サイト時代から継続して利用している「シニア総合研究協会」のいわのさんに、運営のコツや、素材の扱い方など今すぐ役立つ嬉しい情報を教えて頂きました。

写真:特定非営利活動法人シニア総合研究協会の団体個別サイト

シニア総合研究協会ホームページはシンプルに、ストリートボードのような看板と団体紹介のパンフレットを合わせたような位置付けです。逆にいうとそれ以外の機能・情報は持たないという割り切り方で運営しています。SNSは現在進行形的なイベントを宣伝したり、利用者との双方向コミュニケーションには向いていますが、団体の特色やゴールイメージの発信ツールとしては、まだまだホームページは捨てたものではないと思います。

シニアスタッフの多い小規模団体では、ホームページの体裁を整えつつ、スタッフなら誰でも更新作業を出来る作りにしたホームページというのが作るときのポイントだと思います。 例えばシニア総合研究協会のホームページは、以下の3点にしぼって情報を掲載しています。

  • どんな団体で、どんな目的・ゴールイメージで活動しているの?
  • どんな人がやっているの?
  • 実際にはどんな活動をしているの?

この三つをキチンと「煮詰めて」作るだけでホームページの充実度が高まると思います。具体的には当法人では内部で活動している人のことが伝わるように、役員紹介ページに各役員の顔写真と簡単なQ&Aを設けています。また団体の活動や実績、全体像がわかるQ&A集も掲載しています。団体概要はとかく定款などの活動目的を載せておしまい、になりがちですが、工夫することで読みやすく親しみの湧く団体概要にすることができるのではないでしょうか。

他にも

  • 記事を載せるときにはイメージ画像でもいいので一緒に掲載する。
  • 「写真AC」などのフリー素材のサイトを自分で使えるようにしておく。
     ※写真ACは、原則無料で条件別に写真をレンタルできるサービス  https://www.photo-ac.com/
  • WordやPowerPointの図形機能などでイラストを作って、PDFに書出し→「ペイント」に貼り付けるだけでバナーイラストなどが作れるので、うまく活用してみる。
  • 固定ページを作る際はページごとにスタイルを決めておいて、それを流用して作れるようにしておく。(メンテナンスが楽になる)。
  • PDF EmbedderなどのプラグインでPDFを直接表示できるようにしておく。

など、自分なりのコツを作っておくと、楽しくホームページ作りができます。せっかく旧地域コムから大きく進化したので、ぜひ活用して素敵な団体のホームページにしてみてはいかがでしょうか。 ホームページ作りは1人ではなかなかできないものです。RISA(当法人の略称)のホームページ作りでは広報部会にて担当役員の皆さんに毎月熱心に討議してもらい、ホームページ作りを支えてもらっています。そのような団体としての広報体制づくりも、ホームページづくりには大切だと思います。

特定非営利活動法人シニア総合研究協会

団体個別サイト:https://member.sugi-chiiki.com/npo-risa/
WordPress 公式サイト:https://ja.wordpress.com/


イベントの申込を自動で受付管理、とってもラクでした。

みなさんは、イベントや講座の申込をどんな方法で受け付けていますか? 地域コムの団体個別サイトを利用せずに独自にWix というCMSを活用して、ウェブ運営しているBATA ART EXHIBITION(※2)の内藤さんに、その使い勝手を教えていただきました。

写真左:内藤さん(BATA ART EXHIBITION事務局)、 写真右:実際のイベント掲載画面、イベントの様子

私達の情報発信は、すぎなみ地域コムの団体個別サイトを利用せずに、独自にWixというCMSで作ったウェブサイトとFacebookを利用しています。 2019年8月に開催したBATA ART EXHIBITION(バタ・アート・エクシビション)のアートワークショップでは大いに役立ちました。のべ5日間で全9種類13コマのワークショップを開催するのですが、悩んだのが申込みの受付方法。電話だと聞き間違いや漏れがあり、メールでは見落としがありそう。そこで「Wix」のイベント機能(無料プラグイン)を使って、希望するワークショップをクリックすれば、簡単に申込みできる仕組みを試しました。サーバーの暗号化などセキュリティを再確認し、事前にイベントの概要や受付仕様を決めて設定したら、申込みから受付完了までの手順はビックリするほど簡単でした!

  1. チラシやSNSで「スマホやPCからカンタンにお申込みできます」と案内
  2. サイトにアクセスしてもらい、希望するワークショップのページを選んでクリック
  3. 申込みフォームに必要事項(項目はある程度自由設定可)を入力して送信してもらう
  4. 自動返信でフォームに入力されたメールアドレスに、当日の注意事項などが通知される
  5. 申込みが入る度に担当者にメール通知があり、ワークショップ毎の参加者リストが自動更新される
  6. 申込みが定員に達すると、自動的に受付が停止される

特に役立ったのは「自動返信メール機能」と「定員設定機能」です。あらかじめワークショップ毎に違った返信文を設定できるので、持ち物や当日の注意などの連絡漏れが防げます。また定員に達した場合、サイトにアクセスすれば一目で満席だとわかるため、申込み希望者、主催者、双方にとってストレスがありません。おかげさまでスムーズに申込みを管理できて、ほぼ満員御礼で当日を迎えました。

デザインも、初期設定でそこそこ見栄えがよいこともあり、デザイン分野に詳しくないので助かりました。「webサイトを作るなんて難しそう…」と思うかもしれませんが、初心者でもカンタン手軽に使えるwebツールが、どんどん出てきているようですので、いろいろ試してみるのもいいですね。

BATA ART EXHIBITION公式サイト:https://www.bataart.tokyo/
WIX公式サイト:https://ja.wix.com/

※1 プラグイン 初期設定には含まれない追加でセットできる機能
※2 BATA ART EXHIBITION(バタ・アート・エクシビション):杉並区のアーティストが「阿佐谷」「和」「七夕」をテーマに作品世界を提供するアート展。2017年から阿佐谷南で開催 

【ご注意】

すぎなみ地域コムの団体個別サイトでは、申込フォーム等の個人情報取得に関わる機能を設置利用することは出来ません。個人情報を取得する仕組みを必要とする場合は、団体で独自にサーバー、システムをご用意のうえ十分に安全管理に注意しご利用ください。


WordPress、Wixともに外国製のCMSですので、ボタンや説明が時々英語で表示されたりしますが、分かりづらいほどではありません。落ちついて確認すれば大丈夫。またいずれもオープンソースと呼ばれるもので、基本利用料は無料ですが、プラグインやサーバーによっては費用が発生しますのでご注意ください。

ほかにもCMSは多くのブランドがあります。ご利用を検討する際は、費用、使い勝手、拡張性などに注意して、みなさんの団体にあったものを選びましょう。

【ヒント1】団体個別サイトは、後からでも申し込めます。

すぎなみ地域コムの団体個別サイトは、WordPress を一部地域団体用にカスタマイズし白紙の状態で希望団体に提供しますが、これまでの地域コムとは異なり、運営やセキュリティ対策など団体が独自で管理していただく方式です。また操作画面等も異なります。ご利用に不安のある方は、まずポータルサイトでの情報投稿を試してみてください。物足りないな、もっと多くの機能が欲しいな、と感じた時にご利用を検討ください。

【ヒント2】地域団体の情報開示

地域の理解を得るためには、参加者募集などの一方的な情報発信だけでなく、団体を信頼頂くための情報の掲載も必要です。法人格の有無、地域との関わりを考慮し伝えるべき情報を検討してみましょう。

ウェブサイトでの情報発信は、発信するだけでなく、どのようにウェブサイトが閲覧されているか解析データを考察することも大事です。次回はウェブ解析サービス Google アナリティクスについて紹介していきます。(ヒアリング・執筆:手塚佳代子)