地域活動AtoZ

2020年2月掲載

volume 1目にとまる!ワンランク上のチラシづくり

「すぎなみ地域コム」がリニューアルオープンし、これまでになかった新しい機能がいくつか追加されました。なかでもおすすめなのが「デジタルチラシ」の投稿と検索です。 杉並区内の講座やイベントを、視覚的に検索できるようチラシのデジタルデータを一気に閲覧できる仕組みです。そこで、このデジタルチラシ投稿機能を上手に活用できるよう、目にとまる集客効果の高いチラシづくりのコツについてご案内していきましょう。

チラシは興味を持ってもらう入口

地域団体では、デザイン経験のあるメンバーがいることは少なく、制作には、みなさん苦労していることでしょう。そんな時は、まず基本的なコンセプトを考え、迷った時には基本コンセプトにそって判断を繰り返していくとよいでしょう。デザインとは、いかに情報を整理し、どう表現するか、なのです。

チラシ置き場に並べられたたくさんのチラシ

伝えたいことを最高でも3つに絞る

イベントや講座の魅力を簡単に伝えられるよう3つ程度のセールスポイントを明確にします。よくばると、かえって何も伝わらないことがあります。セールスポイントを均等に三大柱とするのか、1,2,3と優先順位を付けメリハリを出すのか、も決めます。

チラシを手にとってほしい世代や性別を想定する

  • 文字の大きさは?漢字かひらがなか、言葉づかいは?
  • カタカナ言葉は?色使いは?ネットと連動は?メインは絵それとも写真?
  • 対象となる世代を決めるだけでも、ある程度のことが決まってきます。
  • 老若男女に見て欲しい、という場合も同様に情報の表現方法を決めます。

一般的に若年層にはビビットなビタミンカラーと呼ばれる色使いや、微妙な中間調的な色使いが人気です。また小さい文字やかわいらしい手書き文字も人気のようです。一方、中高年以上は、読みやすい大きめな文字サイズ、コントラストの高いはっきりした色使い、写真や図式を掲載してイメージしやすくするなどの配慮をした方がよいでしょう。

ビタミンカラーやパステルカラーの例

”情報だらけ”の今、アイキャッチにこだわっています

今や老舗といえる荻窪のライブハウス・ルースターのチラシはオーナーの佐藤さんの手作りが基本。チラシづくりのこだわりをうかがいました。 写真:佐藤ヒロオさん(広告代理店勤務の経験を生かして作るチラシは個性が光る作品だ)

皆さんはSNSをご覧になる時、どんな風に読み進めますでしょうか?「全部、端から端まで読んでいるぞ」。そんなことはないですよね。ザザーっとスクロールして、興味を持った情報があったらそこで、ストップ。そんな感じではないでしょうか?そうなんです。昨今は情報だらけ。せっかくフライヤー(チラシ)を作っても埋もれがちになっちゃうわけです。ですので、まずは目に留めてもらわなければなりません。ではどうするか!勝負は画像とキャッチコピー。このふたつです。

私はまずは興味を持ってもらうことを最優先としています。キャッチコピーはちょっとひねると効果が倍増します。たとえば「ダイエットに効果的」よりも「99%の人が勧めたダイエット方」のほうが説得力がありますよね。「街で人気のレストラン」より、「行列のほとんどはリピーターでした。」とするほうが「え?どこ?」ってなりそう。伝えたいことをわーって載せるのではなく、ほとんどを小さく書く。そこを読ませるためにインパクトのある画像と気になるキャッチコピーで目を引かせる。そういう作戦です。

私は昔取った篠塚、いや杵柄で365日分のライブ告知フライヤーを作っております。よく「ネタは尽きないんですか?」と聞かれますが、角度を変えればアイデアは無限。もう楽しみまくって作っています。機会があったら見てくださいねー。」

松ノ木手づくりマルシェは、チラシづくりも交流です。

今年の春で第20回開催予定の「松ノ木手づくりマルシェ」は毎回個性的なチラシが話題です。事務局のカフェ・ド・ヴァリエテさんにて高橋有美(i&i)さん、濱田始(I企画)さんに制作のコツをうかがいました。写真左:濱田始さん、写真右:高橋有美さん

高橋 「松ノ木マルシェのチラシは毎回およそ30組の出展者に声がけしてイラストを描いてもらうなど協力してもらっているんです、参加意識も芽生えますし、ものづくり系のマルシェなのでイラストを描くこと自体、苦になる人がいないってことも一因ですね。」

濱田 「ロゴも、初めてマルシェ開催の決まったミーティング中に何気なく走り書きした文字です、それを今でも使用しているのですが、継続して使用することで意図せずブランディングもできてきました。アナログ感が生かされて暖かい感じが出ていると思います。季節感も手描きの方が表現しやすいですね。」

高橋 「お願いするイラストは毎回描き手も違うので実はイメージも異なります。たまに違和感のある新手のものもありますが、事務局が全体のレイアウトをする際にバランスの調整に注意を払っています。また必ず開催回数を入れる、ロゴは変えない、入れる文字はこんな内容など最低限のルールを決めた上での自由な創作なので、結果的にトータル感も出ています。事務局スタッフは編集や制作畑出身者が多いので、ついつい校正には力が入ってしまい厳しくチェックしてしまうのですが、最後はビシッとまとまります。」

濱田 「現在の制作方法で今後もやって行きたいと考えています。チラシづくりは創作的な活動ではありますが、チラシをどう使うかも大切です。チラシが完成したら、必ず周辺の方にもお届けしてコミュニケーションを持つ良いきっかけになっています。」

高橋 「次回は春の開催なので春らしいあたたかいイメージのチラシを作りたいと思います。ぜひ、いらしてください。新高円寺の智光院でお待ちしています。」


チラシづくりに大切なことは、なんといっても受け手、読み手の立場にたって制作すること、そしてコンセプトに忠実に整理していくことなのですね。また情報の優先順をきめてメリハリをつけて表現していますね。情報を届けたい人を思い浮かべて、どうしたら手にとってくれるかな、と試行錯誤するなかで、それぞれの団体にあった基本スタイルができて行くことでしょう。

【ヒント1】手書き風書体を使ってみるパソコンで手軽に作られたチラシが多く、見慣れた書体や囲み処理では個性が光りません。最近は若年層を中心に手書きやアナログが見直されています。手書きのイラストをスマートフォンで撮って合成したり、撮った写真にペイントペンで文字を入れたり、とアナログを上手に使った個性的なチラシに挑戦してみるのも良いでしょう。手書き書体などのダウンロードサイト:http://fontfree.me/category/tegaki

【ヒント2】他メディアと連携しやすいQRコードチラシでは、たくさんのことを伝えようとすると文字だらけになってしまいます。新聞のようなデザインも目をひくかもしれませんが、詳細を記載したウェブサイトやSNSにつなげることもQR(QuickResponse)コードを使えばカンタンです。
「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
無料QRコード作成サービスサイト:https://qr.quel.jp/form_bsc_url.php

【ヒント3】地域コムのデジタルチラシに投稿する際は、プレビュー画像が小さく表示されることにも配慮ください。画像では10ポイント程度の小さい文字は読みにくくなります。また文章は裏面にまとめ表面に目にとまりやすいビジュアルを使用するとプレビュー画像に目がとまりクリックしてくれるかもしれません。

チラシデザインをもっと勉強したい方は、デザイン書籍を眺めたり、すてきだな、と感じるデザインを脳内にたくさんストックしていきましょう。いつか脳内の引き出しから要素が絡み合って新しいデザインをつくり出してくれることでしょう。
(ヒアリング・執筆:手塚佳代子)